躁鬱病の担任へ、愛のレポートにメッセージを添えて

双極性障害

双極性障害は、躁状態鬱状態という病相を繰り返す精神疾患である。WHOによる「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」では、うつ病とともに「気分障害」のカテゴリに含まれている。古い呼び名では躁うつ病とも言う。

症状と診断

双極性障害は、躁状態を伴う双極Ⅰ型障害と、軽躁状態を伴う双極Ⅱ型障害に区分される。躁状態、または混合状態が1回認められれば、双極Ⅰ型障害と診断される。うつ状態躁状態が、症状のない寛解期をはさみながら繰り返していくことが多い。躁状態あるいはうつ状態から次のエピソードまでの間隔は平均して数年間である。
これに対して、うつ状態と軽躁状態のみが認められる場合を、双極Ⅱ型障害と呼ぶ。軽躁状態は、患者や家族には病気とは認識されにくいため、自覚的には反復性のうつ病であると考えている場合も多い。症例によっては特定の季節に再発を繰り返すこともある。うつ状態から急に躁状態になること(躁転)はまれでなく、一晩のうちに躁転することもある。また1年のうちに4回以上うつ状態躁状態を繰り返すものを急速交代型と呼ぶ
Ⅰ型が重症でⅡ型が軽症だと誤解されているが、いずれも専門医の指導に基づく治療と投薬が必要な病気である。Ⅱ型であっても自殺に至る確率は高く注意が必要である。一方でいずれも治療と自己によるコントロールを行っていれば、健常者に近い生活を営むことが可能である。

 

躁状態

躁状態とは、気分の異常な高揚が続く状態である。躁状態の初期には、患者は明るく開放的であることもあるが、症状が悪化するとイライラして怒りっぽくなる場合も多い。自覚的には、エネルギーに満ち快いものである場合が多いが、社会的には、種々のトラブルを引き起こすことが多い。

自尊心の肥大:自分は何でもできるなどと気が大きくなる。
睡眠欲求の減少:眠らなくてもいつも元気なまま過ごせる。
多弁:一日中喋り倒したり、手当たり次第に色々な人に電話を掛けまくる。
観念奔逸:次から次へ、アイデアが浮かんでくる。具体的には、文章の途中で、次々と話が飛ぶことなども含まれる。
注意散漫:気が散って一つのことに集中できず、落ち着きがなくなる。
活動の増加:仕事などの活動が増加し、よく動く。これは破壊的な逸脱行動にも発展しうる。
快楽的活動に熱中:クレジットカードやお金を使いまくって買物をする、性的逸脱行動に出る。
自殺:躁状態でも自殺に至るケースがある。

 

うつ状態

双極性障害うつ状態は単極性のうつ病と症状は似ており、完全に区別はできないが、過眠・過食などの非定型の特徴が多い、幻聴や妄想が多い、といった傾向はある。双極性障害うつ状態は、単極性のうつ病に比べると、難治な傾向があると言える。また、単極性よりもつらく苦しい症状である。自殺に至るのもこの状態が多い。

精神的な症状

マイナスな感情(不安、悲しみ、焦り)うつ病最大の症状。思い当たる節がない、自動的な不安や悲しみが特徴。この先何も良いことがないんじゃないか、自分はダメなやつだ、何をしたってムダなんじゃないか、と考えるようになる。
やる気が出ない:おそらく、2番目あたりに多い症状。最初のうちは仕事に取りかかれずにグズグズするくらいで、症状が進むと趣味をやる気もなくなってくる。こんな風になりたい、という希望もなくなってくるので、前向きな努力がしづらくなる。怠けとの最大の違いは、怠けでは「やらなくていい」と思うのに対し、うつ病では「やらなきゃいけない」という意識が残っているのにどうしても手を付けることができないところにある。これを「精神運動抑制」という。やる気が抑え込まれている、とも言える。
頭が回らない:働く人にとって非常に切実な症状。最初のうちは「勘がにぶる」「アイデアが浮かばない」という程度だが、やがて物事の優先順位が分からなくなってきて、何が大切なのかピンと来なくなる。からだの動きが遅くなる、口数が減る、会議で自分の意見が言えなくなる。若くても物覚えが悪くなったり暗算が苦手になる。実際に仕事の能率も落ちてくるので、「自分はもうダメだ」「まわりに申し訳ない」という「自責念慮」という考えが出てくるようになる。
症状は朝悪く、夕方楽になる:よっぽど重症でないかぎり、精神症状が1日中最悪ということはない。朝が悪くて次第に楽になる「日内変動」という傾向があるのが一般的。「昼からは平気だから、自分はまだ大丈夫なんじゃないか」などと思ってはいけない。その変動こそがうつ病の特徴なのだ。

体の症状

睡眠障害:入眠や睡眠持続が難しくなる不眠症と睡眠が異常に多くなる過眠症がある。
身体の疼痛:体のどこかが慢性的に痛い。主に肩凝り、腰痛、胃痛、関節痛、筋肉痛などがある。
食欲増進・食欲減退:「無性に○○が食べたい」というのが頻繁に起きる。
耳や目が悪くなる:目の疲れ、耳鳴り、難聴などがある。めまいが出るケースもある。目や耳そのものではなく、視覚や聴覚を担当する部分の脳の機能不全が原因である。

 

薬物療法

気分安定薬による再発予防を基本とする。うつ病では非定型抗精神病薬気分安定薬の併用、躁病においては抗精神病薬の併用、不眠に対して睡眠導入剤の併用などが行われる。

心理・社会的治療

いずれの心理社会的治療も、薬物療法との併用が必要であり、単独での有効性は証明されていない。
疾患教育:躁状態うつ状態が病的なものであると認識をさせる。本人は、躁状態を心地良く感じ、病気であると思わないことや、躁状態に戻りたいとさえ考える人もいる。周囲の人も、躁状態での言動を「本人の性格」、うつ状態のことを「怠け」などと解釈することがある。しかしこのような姿勢を取っている間は、安定した治療継続は困難である。
具体的には、再発を繰り返す可能性のある慢性疾患であり、長期的治療を必要とすることを認識させる。完全に治癒することはないと説明する。再発につながりやすいストレスを予測し、ストレスの乗り越え方を考える。

 

切っても切れない、教師と鬱病

教師の一週間の労働時間は約59時間です。教師は、日中は授業、放課後は部活の顧問、職員会議やテストの採点、進路指導など、恐ろしいほどの量の業務を日々こなしています。近年では、モンスターペアレントの問題もあり、教師の業務負荷・精神的ストレスは極限にまで高まっています。劣悪な職場環境の中、うつ病になってしまう教師の数は増え続けています。その割合は一般企業と比べて約2.5倍となっています。文部科学省の発表によると、平成12年では2,262名だった精神疾患により休職した教員の数が、平成21年には5,458名まで増加しています。
今の教育現場では、規律を乱す生徒にゲンコツをするだけでも体罰として問題視されます。体罰を行った教師は、学校からも親からも責められることになります。学校の先生には自分の信念に従って生徒を教育し、必要があれば殴り倒してでも正しい道に導いてほしいものです。同時に、業務負荷が大きくなりすぎないように、一般企業の社員と同じように、教師にも、私生活や家族との時間も大切にできる働き方が確立されてほしいものです。

 

私から先生へ

ラクをできる道を選ばないんですか?それとも、選べないんですか。ただでさえ大変な「教師」という仕事ですよね。生徒に対して最低限の指導しかできない先生もいると思うのです。もちろん、その先生とは、最低限の関係が築かれます。先生は、もし今、一生働かなくても生涯贅沢をして生きていける程度のお金が手に入ったとしても、仕事を続けますか?まあ、9割9分、しないでしょうね。絶対にやめると私が言い切れないのは先生だけです。私は精神疾患のひとが好きです。他の一般人に比べて魅力的です。ただ、自分が躁鬱病なのはひとつも構わないけれど、人が患っていると可哀想と思います。自分が可哀想と思われていることに対してどう思いますか?先生は今のままでいいんでしょうね。他事ながら、そう思います。